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建設業許可について

「建設業許可とは?」「どんな時に必要?」
「建設業許可を取得するメリットは?」
といった疑問にお答えすると共に、建設業許可の種類や要件・許可業種などについて、詳細にご説明いたします。

INTRODUCTION

建設業許可とは?どんな時に必要?

建物や土木工作物に手抜き工事や粗雑工事などがあっても、完成後すぐにはわかりません。

 

発注者は使用に耐えるものか否か判断をできないので、工事を発注する前に、一定の基準を満たしている施行者を選ぶことができるようにし、手抜き工事などを未然に防ぐ必要があります。

そこで、国や都道府県が一定の技術的な資格や財産的基礎を備えた者のみに、建設業を営む許可を与えるという許可制が設けられました。

 

つまり、建設業許可は、建設工事の適正な施工の確保と発注者の保護のための制度です。

 

建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事(※1)のみを請け負うことを営業とする者以外は、業種ごとに建設業の許可を受けなければなりません。

この場合、「建設業」とは、元請、下請けその他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負うことを営業とする者をいいます。

 

建設業の許可は、発注者から直接工事を請け負う元請負人はもちろん、下請人の場合でも必要となります。

※1【建設業許可が不要な軽微な建設工事とは?】

工事1件の請負代金の額が、

① 建設一式工事では1500万円未満の工事又は延べ床面積150㎡未満の木造住宅工事

② 建築一式工事以外の工事では、500万円未満の工事

MERIT

建設業許可を取得するメリットは?

① 請負金額の制限は取り払われるので、より大きな工事が施行できるようになり、自由な営業活動が可能になる

 (ただし、「特定建設業許可」「一般建設業許可」による制限はあります。)

② 対外的な信用度を上げることができる

③ 許可要件、基準をクリアすることによって企業体質が改善される

④ 銀行や保証協会などの公的融資による資金調達が容易になる

⑤ 許可業者の情報は公にされるため、優良な建設業者は受注活動が有利になる

TYPE

建設業許可の種類

許可の区分には、「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」、「特定建設業許可」と「一般建設業許可」があります。

同一の建設業者が大臣許可と知事許可の両方の許可を取得することはできず、また、同一の業種について特定建設業許可と一般建設業許可の両方を取得することはできません。

① 大臣許可と知事許可

大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業しようとする場合

知事許可:1つの都道府県にのみ営業所を設けて営業しようとする場合

当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受ける必要

② 特定建設業許可と一般建設業許可

特定建設業許可:発注者から直接建設工事を請け負った者が、4000万円以上(建築一式では6000万円)の工事を下請けに出す建設業者が取得すべき許可
一般建設業許可:軽微な工事だけを行う場合を除き、元請業者・下請業者を問わず建設業を営む者が取得すべき許可

REQUIREMENT

建設業許可の要件

一般建設業の許可要件

一般建設業の許可要件は次の5点で、このすべてに該当しないと許可は取得できません。

① 経営業務の管理責任者を有すること(法第7条第1号)

② 営業所ごとに置く専任技術者を有すること(法第7条第2号)

③ 誠実性を有すること(法第7条第3号)

④ 財産的基礎または金銭的信用を有すること(法第7条第4号)

⑤ 欠格要件に該当しないこと(法第8条各号)

特定建設業の許可要件

特定建設業の場合も、「①経営業務の管理責任者」「③誠実性」「⑤欠格要件」は一般建設業許可と同様ですが、「②営業所に置く専任技術者」と「④財産的基礎」については、よりいっそう厳しく規制されており、個々の状況を検討して申請する必要があります。

【「②営業所ごとに置く専任技術者」については、次のいずれかに該当することが必要です】

  1. 許可を受けようとする業種について、国土交通大臣の認めた技術検定、資格試験などに合格した者(法第15条第2号イ)
  2. 一般建設業の技術者に該当する者のうち、発注者から直接請負った工事の請負金額が4500万円以上の工事に関して2年以上の指導監督的な実務経験がある者(法第15条第2号ロ)
  3. 国土交通省がイまたはロの者と同等以上の能力を有すると認定した者(法第15条第2号ハ) 

 

【「④財産的基礎」については、申請直前の決算において、次のすべてに該当することが必要です】

  1. 欠損の額が、資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上であること
  3. 資本金が2000万円以上であり、かつ自己資本の額が4000万円以上であること

※ 新設法人については、資本金の額が4000万円以上あれば上記3点に該当するものとされています。

※ 欠損比率については、繰越利益剰余金がある場合のほか、資本剰余金(資本剰余金合計)、利益準備金、その他剰余金(繰越利益剰余金を除く)の合計額が繰越利益剰余金の負の額を上回る場合は要件を満たしているので、「④財産的基礎」については、ロとハに該当していればよいとされています。

ABOUT

許可業種について

許可業種とは

建設業の許可は、29種の建設工事の種類ごとに、それぞれに対応する建設業の業種に分けて行われます(下記許可業種一覧参照)。

【許可業種一覧】工事名
建築一式 土木一式 大工 左官 とび・土工・コンクリート
屋根 電気 タイル・れんが・ブロック
鋼構造物 鉄筋 舗装 電気通信 板金 機械器具設置
舗装 防水 内装仕上 ガラス 熱絶縁 しゅんせつ
造園 さく井 建具 水道施設 消防施設 清掃施設 解体

許可業種を選ぶポイント

① 自社の技術力、営業内容を考慮する
② 営業所ごとに置く「専任技術者」に該当する人材がいるか
③ 重複する許可業種がないかを検討
④ 入札に有利な許可業者を選択

併せて取得したほうが良い許可業種は

建設工事は1つの業種のみで進められる場合はまれで、むしろ複数の業種が協力し合って完成される場合が多いため、関連する業種の許可を併せて取得した方が事業の拡大につながります。

【併せて許可を取得する場合の業種選択のポイント】

① 現在、取得している業種以外に許可が不要な軽微な工事を施工している場合は、その業種。
  たとえば、建築工事業を許可取得している業者が軽微な大工工事を行っている場合。

② 付帯工事として、関連受注および自社施工している場合は、その業種。
  たとえば、造園工事業を許可取得している業者が付帯して舗装工事を行っている場合。

③ 自社を取り巻く経営環境を分析して検討した業種。
  たとえば、公共工事発注者の工事発注の動向を探る。

④ 現実に許可取得が可能か。
  たとえば、営業所ごとに置く「専任技術者」の有無を検討する。

⑤ 都道県によって扱いが異なる場合があるため、担当窓口に確認する。

【現在取得している許可業種と併せて取得した方が良い許可業種】

現在取得している許可業種 関連する業種
土木工事業 とび・土工工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、水道施設工事業、解体
建築工事業 とび・土工工事業、内装仕上工事業、大工工事業、屋根工事業、ガラス工事業、防水工事業、熱絶縁工事業、解体
大工工事業 建具工事業、とび・土工工事業、解体
左官工事業 タイル・れんが・ブロック工事業、防水工事業
とび・土工工事業 土木工事業、舗装工事業、解体
石工事業 土木工事業、とび・土工工事業、解体
屋根工事業 防水工事業、板金工事業
電気工事業 電気通信工事業、鋼構造物工事業、管工事業
管工事業 土木工事業、消防施設工事業
タイル・れんが・ブロック工事業 とび・土工工事業、解体
鋼構造物工事業 建築工事業、解体
舗装工事業 土木工事業、とび・土工工事業、解体
内装仕上工事業 建具工事業、建築工事業
機械器具設置工事業 管工事業
熱絶縁工事業 管工事業(冷媒配管工事業の延長として)
造園工事業 土木工事業、とび・土工工事業、舗装工事業、解体
さく井工事業 とび・土工工事業、管工事業、解体
水道施設工事業 管工事業(上水道の配管工事との関連)、土木工事業、解体
消防施設工事業 管工事業、電気工事業
清掃施設工事業 管工事業、水道施設工事業

POINT

許可取得前の注意点

許可取得を前提にした会社を設立するには

建設業許可の取得を前提にして会社を設立するには、次の点に注意する必要があります。

① 経営業務の管理責任者が役員の中に1人入っていること。

② 新設法人の場合は、一般建設業許可は500万円以上の財産的基礎または金銭的信用、特定建設業許可は、4000万円以上(※新規設立で決算未到来のため)の財産的基礎があること。

③ 会社の事業目的に、建設業許可を取得しようとする業種に関連するものが具体的に明記されていること。

許可取得を前提にした社会保険の手続きは

平成24年11月以降、加入義務のある場合は、原則として許可申請時に社会保険(健康保険、厚生年金保険)および雇用保険の加入を証する書類を提出しなければ、許可権者から指導を受けることになりました。

また、許可要件である「経営業務の管理責任者」の「常勤性」、営業所ごとに置く「専任技術者」の「専任性」を確認するため、例外を除き、これらの者を社会保険に加入させておく必要があります。

OTHER

その他

電気工事の施工を自ら行うには

一定規模の金額以上の電気工事を請負うには、建設業許可を受けていればよいのですが、電気工事を自社自らが施行するには「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に規定する登録を受けなければなりません。

したがって、自社の作業員が電気工事を施工する場合は、電気工事業登録が必要となりますが、下請業者に電気工事を施工させる場合は、建設業許可のみでかまわないということになります。

また、建設業許可では営業所に置く専任技術者は必ずしも電気工事士でなくてもよいのですが、電気工事登録では電気工事士が社内にいることが要件になります。

解体工事を行うには

平成28年6月1日から、従来の建設業法では「とび・土木工事業」に含まれている「工作物の解体」を独立させ、建設業許可にかかる業種区分として、新たに「解体工事業」が追加されました。これにより、解体工事業を営む者については、原則、解体工事業の許可が必要となります。

※ 平成28年6月1日の時点で現にとび・土工工事業の許可を受けて解体工事を営んでいる者は、引き続き平成31年5月31日までは解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工することが可能です。
※ 軽微な工事(1件の請負金額が500万円未満(税込)の工事)のみを請け負う場合、建設業の許可は必要ではありませんが、「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」に基づく解体工事業の登録を、工事を行う地域を管轄する都道府県ごとに受けておく必要があります。

産業廃棄物の収集運搬を行うには

建設工事で避けられない建設廃材などの産業廃棄物の処理は、環境衛生上、多くの規制が加えられています。

処理業者は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づいて行われ、処理業者は、産業廃棄物処分業許可あるいは産業廃棄物収集運搬業許可を受けなければなりません。

発注者から直接工事を請負った建設業者(元請業者)が収集運搬を自ら行う場合、その元請業者は排出事業者となり、許可は不要です。

しかし、元請業者から収集運搬を委託された下請・孫請業者は、処理業者として許可が必要になります。

したがって、土木工事業、水道施設工事業などは、建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可の両方を取得しておく必要があります。